中古の電気自動車のメリット・デメリットとは?新車との違いを含めて解説

「2050年カーボンニュートラル宣言」による脱炭素社会の実現のため、2030年代半ばまでにガソリン車の新車販売禁止が予定されています。
これに伴って電気自動車(EV)が注目されていますが、新車の販売価格の高さがネックになりがちなため、中古車を検討する方が多くいらっしゃいます。
本記事では、中古EV車と新車のそれぞれのメリット・デメリットや、中古車と新車のどちらを購入すべきなのかについて、詳しく解説します。
1. 中古の電気自動車のメリット

中古の電気自動車のメリットには以下の3点があります。
1-1. 販売価格が安い
中古の電気自動車の最大のメリットは、新車に比べて圧倒的に販売価格が安いことです。
例えば、日産リーフの場合、新車価格が約315万円〜500万円程度です。
現行モデル(2021年4月〜)の中古車相場は約350万円ですが、1世代前のモデル(2020年2月〜2021年3月)になると約280万円と、新車の半額近くまで値段が下がっています。
また、初代モデル(2010年〜2012年)に至っては、中古車相場が45万円程度と、ほぼ9割引になっています。
このように、中古の電気自動車は大幅に値段が下がる場合が多く、1年〜2年前の比較的新しいモデルであっても半額以下で販売されることも珍しくありません。
1-2. 新車と同様に優遇措置が受けられる
電気自動車は中古車であっても、新車の場合と同様に、減税措置などの優遇措置が受けられます。
中古の電気自動車が受けられる優遇措置には、主に以下の3つがあります。
- エコカー減税
- 環境性能割
- グリーン化特例
中古の電気自動車が受けられる優遇措置の詳細については、 こちらの記事 をチェック!
1-3. V2Hとの組み合わせで家庭用蓄電池として活用できる
近年、地震等の自然災害が増えてきていますが、
電気自動車はV2Hとの組み合わせで家庭用蓄電池として活用できるため、万が一の停電時でも普段どおりの生活ができます。
しかし、新車の電気自動車とV2Hを揃えるのは、大きな費用がかかります。
そのため、まずは比較的リーズナブルな、中古EV車とV2Hの組み合わせがおすすめです。
例えば、日産リーフe+の場合、60kWhの大容量バッテリーを搭載しています。
これはなんと、一般的な家庭用蓄電池の約6〜10倍の超大容量であり、約4日分の家庭の電気を賄うことができます(※
日産HP
より)。
2. 中古の電気自動車のデメリット

中古の電気自動車のデメリットには以下の2点があります。
2-1. 補助金が使えない
電気自動車が対象の補助金には、国のCEV補助金をはじめとする制度があり、新車購入時に受け取ることができます。
しかし
現時点(2022年5月)で、中古の電気自動車が対象の補助金はないため、利用することができません。
ただし、中古の電気自動車は、比較的新しいモデルでも安く販売されることが多く、補助金の使える新車よりも総額では中古車のほうが割安で購入できる場合も多いため、 一概に新車で補助金を利用した方が安くなるとは言えない点に注意しましょう。
2-2. 新車と比べるとバッテリーが劣化している
中古の電気自動車を購入する際に必ずチェックしておくべき点がバッテリーの状態です。
バッテリーが劣化すると、一度の充電で走行可能な距離が減ってしまうため、レジャー等での長距離移動時に出先で充電がなくなる可能性があります。
近年、全国的にコンビニ等EV充電スポットが増えてきており、いつの間にか1万8000ヵ所以上と現時点でガソリンスタンドの約6割程度の規模になりました。
そのため、以前に比べると充電への心配は少なくなっていますが、電気自動車は出先でバッテリーが切れてしまうと充電が必要なので、ガソリン車に比べて再出発まで時間がかかってしまいます。
長距離移動で中古EV車を使用する予定のある方は、バッテリーの劣化が少ない車を選ぶことをおすすめします。
3. 新車の電気自動車のメリット

新車の電気自動車のメリットには以下の2点があります。
3-1. 補助金が活用できる
電気自動車を新車で購入する最大のメリットは、補助金を受け取ることができる点です。
2022年5月時点でもらえる補助金には、大きく分けて国の補助金と各自治体の補助金の2種類がありますが、これらは重複して申請が可能です。
補助金を活用することで定価よりも安価に購入できるのは、新車で電気自動車を購入する際の大きなメリットです。
3-2. 最新技術を使った便利機能
最新機能を使用することができるのも新車のメリットです。
一般家庭用の電気自動車は、初代日産リーフが2010年に発売されてから約12年程度の歴史しかないので、車両自体の基本性能の変化はそれほど大きくありません。
ただし、運転支援機能や自動駐車機能などの最新技術の進化は目まぐるしいものがあります。
車両の制御アルゴリズムの最適化によって、ドライバーの負担を違和感なく軽減したり、車自身に知能があるかのようにスムーズな駐車が可能になってきています。
中古車でも年式の新しいモデルであれば、支援機能が搭載されている場合も多いですが、より最先端の機能が使いたい方は、新車の購入を検討しましょう。
4. 新車の電気自動車のデメリット

新車の電気自動車のデメリットには以下の2点があります。
4-1. 販売価格が高い
新車の最大のデメリットは、なんといっても販売価格の高さです。
電気自動車の本体価格は、車種やグレードによって大きく異なりますが、約300〜600万円が一般的です。
定価の半額以下で購入できる場合もある中古車や、100〜300万円程度で購入できるガソリン車と比べると、購入費用がかさむ点が気になります。
新車購入時に補助金制度を活用することで、経済的な負担を大きく軽減できますが、さすがに中古車ほどは安くならない場合が多いため、初期費用を抑えたい方は慎重に検討しましょう。
4-2. 納車までに時間がかかる
新車は中古車と比較して、納車までの納期が長いことにも注意が必要です。
中古車は販売店に実物があるため、1〜2週間程度で納車されるのが一般的です。
それに対して新車の場合は、受注生産となるため、1〜6ヶ月それ以上かかるのが普通です。
加えて近年は、新型コロナの影響や半導体不足による供給の滞りによって、さらに納期が延びています。
人気の車種やグレードによっては、納車までに半年〜1年以上かかる場合もあるので、待ちきれない方は別の車種を検討するか、中古車を探すことをおすすめします。
5. 電気自動車は新車 or 中古車どちらがいい?

電気自動車は、中古車と新車のどちらを購入すべきなのでしょうか。
結論としては、「新車」「中古車」のどちらもメリット・デメリットがあるため、使用目的に合った方を選択するのがベストです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
新車 |
・補助金が活用できる ・最新技術を使った便利機能 |
・販売価格が高い ・納車までに時間がかかる |
中古車 |
・販売価格が安い ・新車と同様に優遇措置が受けられる ・V2Hがあれば家庭用蓄電池として活用できる |
・補助金が使えない ・新車と比べるとバッテリーが劣化している |
総合的に考えると、
初期費用が多くかかっても問題ない方や、レジャーや出張の頻度が高い方
は、
新車を選ぶのが無難
です。
対して、
近場での移動がメインで、長距離移動が月に2〜3回程度
であれば、
数年落ちの中古車でも十分に活躍
が見込めます。
中古の電気自動車は、新車に比べて初期費用が抑えられますので、車を選ぶ際の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。